ノーズワークの歴史とJNWSCのこれから

ノーズワークの歴史

ノーズワークは、ロン・ガーント、エイミー・ヘロット、ジル・マリー・オブライアン によってアメリカで2006年作り出されました。 アメリカでは「K9 Nose Work®」と呼ばれています。その発端となったのは、保護犬の生活の質を何かアクティビティを与えることによって向上させ、精神的に満たしてあげること、最終的には保護犬たちをアメリカ中の家庭で飼ってもらえるようにすることでした。

ロン・ガーントは職業探知犬と作業をしてきた経験を活かし、そこからノーズワークをどのように訓練すべきか、というアイデアに至りました。多くの犬が狩猟や探索といった自然に持つ本能からの衝動を持っているにもかかわらず、そのはけ口が得られず、結局人々の目にはふさわしくない行動を見せる、という残念な状況を見てきました。

ノーズワークは、本能を活用させる素晴らしい機会を犬に与えることになります。その結果、精神は満ち足り、心地よい疲れを得ることができます。これは飼い主にとっても犬にとっても嬉しいことだとは思いませんか?スポーツとしてのノーズワークは、現在ではヨーロッパやオーストラリアなどにも導入されそれぞれの国によって名称やルールに多少違いはあるもののハンドラーと犬がエリア内に隠された特定のにおい(ハイド)を探すという共通の目的のもと、世界各国で楽しまれています。

スウェーデンノーズワーククラブの歩み

スウェーデンでは、2014年にSvenska Nose Work Klubben(スウェーデンノーズワーククラブ)が設立され、2017年より世界初のケネルクラブ公認の種目となりました。ノーズワーク創始者の一人であるロン・ガーント氏をアメリカから4年連続招致するなど勉強会を実施。今では年に300以上のにおい認識テスト、800の競技会の開催、競技人口約5000人というスウェーデンにおいても最も人気の高いドッグスポーツの一つとなりました。

設立当初、競技クラスは三つしか設けられていませんでしたが現在はNW1〜NW3の他にElite(エリート)が加わりさらにチャレンジいっぱいの競技となりました。またスウェーデンでは年に一回クラブ主催によるノーズワークチャンピオンシップ大会も開催されています。

ノーズワーク創始者の一人であるロン・ガーント氏(右から2番目)はアメリカからスウェーデンを何度も訪れノーズワークのセミナーを開催。
写真はロン氏がバルブロ・リーデン女史(右端)所有のトレーニング施設を訪れた時のもの。
左端後ろ:スウェーデンノーズクラブ設立時よりクラブ運営に携わってきたロッタ・バウアー女史。バルブロ&ロッタ女史は、ジャパンノーズワークスポーツクラブのアドバイザー的存在。(写真提供:Barbro Ryden)

ノーズワークスポーツクラブ(JNWSC)のこれから

ジャパンノーズワークスポーツクラブのノーズワークのルールはスウェーデンのケネルクラブ傘下にある、スウェーデン・ノーズワーククラブによるルールをもとに作られたものです。世界でもアニマル・ウェルフェアがもっとも進んだ国として、スウェーデンの動物に対する考え方を、私たちもクラブ理念として採用したいと思っています。それはつまり

  • 犬の身体のみならずメンタルも刺激してあげられるようなアクティビティを愛犬に安全に提供できる
  • ポジティブベースでトレーニングを行う、つまり犬の望ましい行動を強化することによって学習させるのを前提としたスポーツである
  • このスポーツにかかわる全ての人と犬にとって楽しいアクティビティである

ですね。

スウェーデンの考え方を取り入れるためにノーズワーク競技会において優勝経験豊富な藤田りか子さんをはじめ多方面の方々からアドバイスを頂きながら、競技会の普及・促進を目標に活動しています。2022年からロッタ・バウアーさん、および2023年にはピッレ・アンデションさんのオンラインセミナーを主催しました。両氏ともスウェーデンのノーズワーククラブ創設時から携わってきたベテランインストラクターでもあり、またオールクラス・ジャッジです。さらには同年ピッレ・アンデションさんを実際に日本にお招きし、記念すべき初の公式ノーズワーク競技会および公認ノーズワークインストラクターコース(オンライン&対面)を開催。これによりクラブ公認のにおい認識テストジャッジも誕生することになりました。

全ての犬の精神と肉体の健全性を高めるためにノーズワークがどのように活用可能かについて知識を広め、これからも世界の基準に沿った内容を発信し続けていこうと思っています。

ベテランインストラクターでもあり、またオールクラス・ジャッジピッレ・アンデションさん。クラブ初の公認インストラクターコースの担当講師
ノーズワークスポーツクラブのアドバイザー藤田りか子さん、バルブロ・リーデンさん